重箱の隅をつつくについて

『重箱の隅をつつく』というコトワザに対し遺憾の念を抱き続けて早5年。時間が痛みを加速させていく前にコイツとも決着を付けさせて頂きます。

 

重箱とは簡単に言えばガチの弁当箱です。おせち料理とか入ってそうな雰囲気を醸し出す、何段か重なる弁当界の重鎮。日頃質素な生活を営む我々のもとへ1年に1度、訪れるか訪れないか。それほど希少な体育会的存在です。

そして僕たち私たちは小さな頃から『食べ物を粗末にしてはダメだよ』『残さず食べなさい』『好き嫌いしないの』と大人に教えられてきました。

満腹リミットは人によって違うので価値観を押し付ける気は全くありませんが、僕個人はその教育のおかげで弁当でも外食でも出来るだけ残さない様に食べる習慣が身に付き、万が一残してしまった日には罪悪感にさいなまれる始末。

そこまで思いつめなくても…というレベルに達しております。

できれば重箱も隅々まで綺麗に食べたい。

和食料理長のくせにおせちが苦手で力一杯残してしまう僕が言っても説得力に欠けますが、気持ちとしては何も残さず食べきりたい。それが食に対する最低限の礼儀だと思うのです。

しかしここで理解できない問題が発生するんです。重箱の隅をつつくのが悪いみたいな感じのコトワザがあるんですよ。

 

『重箱を隅々までキレイに食べる人間=どうでもいいような細かいことばかり取り上げて口うるさい人間』みたいなコトワザがあるんですよ。

食べ物は残さない様にって教えられたはずが、重箱の料理に関しては隅をつついて食べると細かいだのネチっこいだの言われる始末。このコトワザを正しいとするならば、重箱の料理を残さず食べる事は悪であり、残すのが前提の料理となります。もうパニック症候群。言ってる事が完全に矛盾してて理解できません。方程式にするとこうなります。

 

重箱をつつかない食べ物を残す正義

重箱をつつく食べ物を残さない

 

僕が長年構築してきた価値観と逆なんですよ。正義と悪が真逆。罪なき重箱さんのためにもコトワザの意味を改変するしかありません。

 

重箱の隅をつつく

どうでもいいような事までしっかり最後までやり遂げる事、または物を大事に扱い最後まで使い切る事のたとえ。

【使用例】
丸窓の料理長は重箱の隅をつつきそうな人間である

 

ほらね。これが正しい使い方です。スッキリしました。広辞苑スタッフの皆様、僕と一緒に新訳を世の中に浸透させていきましょう!